2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅沼 秀夫 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10291452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国広 悌二 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (20153314)
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Keywords | 量子色力学 / クォーク / グルーオン / 格子ゲージ理論 / 超弦理論 / エキゾチック・ハドロン / カラーの閉じ込め / ボルテックス |
Research Abstract |
強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)に基いて、クォーク多体系、カラーの閉じ込め、超弦理論との対応、等に関する、独自性の高い研究を行った。(1)超弦理論のDブレーンからゲージ・重力対応を用いて定式化されるホログラフィックQCDにおいて、ソリトン解として現れるバリオンに対する研究を世界で初めて行なった。(2)核子などのバリオンの性質と密接に関わる3クォーク・ポテンシャルの詳細で高精度な格子QCD計算を実行し、それが2体のクーロンとY型の線形ポテンシャルの和で表される事を明らかにした。(この研究の一部は格子QCDの教科書の1節になっている。)(3)2つの重いクォークと1つの軽いクォークからなる系に対するポテンシャルを世界で初めて格子QCDと解析的な模型計算の双方を用いて明らかにし、バリオン中での2個のクォーク間の有効閉じ込め力が、もう1つのバレンス・クォークの動的な効果により減少する事を示した。(4)双対超伝導描像に基いた格子QCDの解析から、バリオン中でのクォーク閉じ込め力とモノポール凝縮との密接な相関を定量的に明らかにした。(5)格子QCDを用いて、クォーク多体系における"閉じ込め力"を世界で初めて明らかにし、クォーク多体系に対しても長距離領域ではストリング描像が成り立つ事を示した。(6)非等方格子QCDを用いてΛ(1405)に関する研究を行い、それが純粋な3クォーク系でも、純粋なペンタクォーク系でもない事を示した。(7)格子QCDを用いて、ダイクォークを理想化した軽いスカラークォークおよびそれとクォークの束縛状態である「キメラ・ハドロン」の性質を定量的に調べ、スカラークォークが、量子補正により大きな質量を獲得する事を示した。(8)相対論的超伝導系でのボルテックスの周辺に「ヒッグス場とゲージ場の束縛状態」の様な新たな励起モードが現れる事を示し、これを「蠕動モード」と名付け、その性質を予言した。
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Research Products
(16 results)