2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540288
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福間 将文 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10252529)
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Keywords | 超弦理論 / 非臨界弦 / 非平衡熱力学 / エントロピー / 粘弾性体 / Yang-Mills理論 / ゲージ理論 / ホログラフィー原理 |
Research Abstract |
■ エントロピーに基づいた非平衡熱力当の再式化と相対論的連続体力学の構成 相対論的非平衡熱力学はこれまで、通常の独立な状態変数に加えてカレントも熱力学変数とみなす「拡張された熱力学」に基づいていた。しかしこの形式では、実際に非平衡系がどのようにエントロピー最大の熱平衡状態に近づいていくのかが直接見えない。本研究では、線形非平衡熱力学における微分展開のleadingで非平衡状態のエントロピーを定量的に記述する局所的な「エントロピー汎関数」を導入し、それにOnsagerの線形非平衡理論を適用することにより、本来の状態変数だけで非平衡熱力学が構成できることを示した。さらにこの手法を用いて相対論的粘弾性体の理論を構成し、それが(1)パラメーターの任意の値に対して長時間極限でNavier-Stokes理論を与えること、さらに、(2)あるパラメーター領域では因果律を保ったsymmetric hyperbolicな方程式が得られること、を示した。これにより、因果律が破綻するという問題を抱えていた相対論的流体力学に対し、流体を粘弾性体の長時間極限とみなすことで、因果律を保った相対論的流体力学が定義できることを示した。現在、初期宇宙・QCDプラズマなどへの応用を進めている。また、時空を粘弾性体の一種と捉えることにより時空のホログラフィー的性質が解明されることを期待している。 ■ large N Yang-Mills理論への解析的アプローチ 非臨界弦をゲージ理論から定式化することを目標に、4次元Yang-Mills理論を3次元からのdeconstructionとして構成する方法論を進展させた。とくに、随伴表現のスカラー場を入れたときの3次元ゲージ理論について解析解を構成し、さらに格子ゲージ理論に基づく数値計算を行って結果を比較することにより、以前に我々が3次元において導入した「過不足ない完全系をなすゲージ不変な変数による有効ハミルトニアンの方法」が極めて有効であることを確認した。
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Research Products
(3 results)