2007 Fiscal Year Annual Research Report
新手法によるエネルギー可変レーザー逆コンプトンガンマ線発生に関する実験的研究
Project/Area Number |
19540289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大垣 英明 Kyoto University, エネルギー理工学研究所, 教授 (10335226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊川 弘之 (独)産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (80357582)
紀伊 俊輝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (30314280)
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Keywords | ガンマ線 / 逆コンプトン散乱 / 光核物理 |
Research Abstract |
本年度は、まずコリメータ・アブソーバ装置の設計・製作を行った。作成した装置は、精密位置決め機構付きの直径8mmの鉛コリメータ(20cmx20cm)と直径8mmの鉛アブソーバ(長さ10cm)である。次にこの装置を、産業技術研究所レーザーコンプトンガンマ線利用施設のビームラインに設置し、原理実証実験を行った。原理実証実験では、電子ビームのエネルギーを600MeVにし、波長1064nm、出力1WのCWレーザーを持ちいて実験を行った。エネルギー可変化装置を導入しない場合、γ線の最高エネルギーは5.7MeVであり、エネルギー幅は8mmコリメータを電子とレーザーの衝突点から6.2m下流に設置した場合、16%(FWHM)であった。次に、エネルギー可変装置を用いた場合では、アブソーバの位置をコリメータから555cm後方に設置にした場合、最高エネルギー4.75MeVでエネルギー広がり25%(FWHM)、465cm後方の場合、最高エネルギー4.62MeVでエネルギー広がり25%(FWHM)、370cm後方の場合、最高エネルギー4.55MeVでエネルギー広がり23%(FWHM)という値を得た。なお測定には8インチx10インチNaI(T1)検出器を用いた。この検出器のエネルギー分解能はCsに対して約8%となっている。一方、ガンマ線の収量に関しては、アブソーバーの位置(555cm、465cm、370cm)に対してそれぞれエネルギー可変装置のない場合に比べて(37%、31%、22%)となった。この結果はアブソーバの立体角に対し良い相関を示した。更に、モンテカルロ法によるシミュレーションコードを開発し、計算を行ったところ、実験結果を再現する結果が得られた。 以上の結果、本年度の研究によりコリーメータ・アブソーバ法によるエネルギー可変ガンマ線発生に関して、実証に成功したと結論できた。また、本手法により、固定エネルギーで運転している通常の蓄積リングにおいて、エネルギー可変のガンマ線を、収量をさほど低下させずに発生させる事が可能な事が示された。
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