2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子分散ガラスのシンチレーション検出器への応用
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19540293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 隆宣 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授 (70283827)
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Keywords | シンチレーション光 / 粒子識別 |
Research Abstract |
シンチレーション光を用いた粒子識別検出器の性能を向上させ精度を上げることは、素粒子実験において非常に重要なことである。この研究課題の当初の目的は、半導体ナノ粒子を高濃度で分散させたガラスを、シンチレータ媒体として使用可能かどうか探ることであった。実験初年度に産業技術総合研究所に作成依頼し入手した試料は、粒径2.7nmを2.8×10^<-5>mol/L(試料A)、粒径3.8nmを1.2×10^<-5>mol/L(試料B)のナノ粒子をそれぞれ混入した2種類のガラスと比較用の通常ガラスである。 シンチレーション媒体として使用するためには、捕らえたい荷電粒子が如何に光検出器の感度が良い約450nmのシンチレーション光を媒体中でたくさん作り出すことができるかが鍵となる。作成した試料はそれぞれ、試料Aが約570nm、試料Bが約670nmの発光をするが、この波長は光検出器の最適な波長領域から外れているという結果となった。また、ガラスの透明度や形状にも問題があることが判明した。今年度は予算が非常に限られており、新しい試料を作成し実験することは不可能であるため、考えられる改良点を検討し、将来的な可能性を模索するための打合せなどを行った。改良点としては、より小さなナノ粒子を混入する方法を検討したが、技術的また製作にかかるコスト面を考えると、現存のシンチレーション媒体には及ばないことが分かった。また、厚みのある媒体を作る技術も独自で開発する必要があり、現状では媒体として使用するには問題点が多いという結論に至った。
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