2009 Fiscal Year Annual Research Report
大域的に非自明な漸近平坦性をもつ高次元ブラックホール
Project/Area Number |
19540305
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石原 秀樹 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (80183739)
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Keywords | black hole / general relativity / higher dimensions / unified theory / Kaluza-Klein theory / string theory |
Research Abstract |
(1) 2個の5次元の最大荷電Kaluza-Kleinブラックホールが合体する過程を,厳密解を用いて解析し,ホライズンのトポロジーがそれぞれ球面であったものから1つのレンズ空間へ変化することを明らかにした.この過程は時空の漸近構造が非自明であることの特徴を表している. (2) Kaluza-Klein的な漸近構造をもつ5次元時空において,2つの粒子が静止した重力源であるような時間一定面の重力場の配位をハミルトニアン拘束条件を解くことによって求めた.それを用いて,粒子の衝突によってブラックホールが形成される断面積を「ブラックホール形成のフープ予想」に基づいて求め,断面積のエネルギー依存性より,余剰次元の数やサイズの情報が得られることを示した. (3) 5次元Kaluza-Kleinブラックホールを周回するジャイロスコープの回転軸の向きの変化を調べた.余剰次元が存在すると,一般相対論で与えられる回転軸の向きの変化に対して補正が現れ,その量により,余剰次元のサイズに関する情報が得られることを示した. (4) 5次元時空において,2つの独立な回転対称性を組み合わせた幾何学的対称性をもつようなNambu-Gotoストリングの運動を解析し,高次元ブラックホールの周りに束縛されるトロイダル・スパイラル状のストリングの厳密解が存在することを明らかにした.また,この中で,特殊なループ・ストリングは,運動方程式が可積分であることが分かった.これをブラックホールの構造を調べる探査子として用いることができる.
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Research Products
(12 results)