2010 Fiscal Year Annual Research Report
大域的に非自明な漸近平坦性をもつ高次元ブラックホール
Project/Area Number |
19540305
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石原 秀樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80183739)
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Keywords | black hole / general relativity / higher dimensions / unified theory / Kaluza-Klein theory / string theory |
Research Abstract |
1.高次元ブラックホール時空の幾何学的性質を明らかにするために,5次元ブラックリング時空におけるテスト粒子の運動を解析した.3次元球面をホライズンにもつような5次元のブラックホール時空では,安定に束縛される粒子軌道は存在しない.ところが,2次元球面と1次元球の直積構造のホライズンをもつブラックリング時空は,リングの形状を特徴づけるパラメータによっては,有界な領域に粒子の安定な束縛軌道をもち得ることを明らかにした.このことから,試験粒子の運動を測定することによって,重力源の位相的な形状の情報を得られることが明らかになった. 2.曲がった時空中のテスト粒子が保存量をもつためには,時空がKillingベクトルやKillingテンソルと呼ばれる幾何学量をもつことが条件になる.これを一般化して,曲がった時空中で力を受けながら運動するテスト粒子が保存量をもつための条件を求めた.この条件は,階層構造をもつ偏微分方程式に解が存在することであり,解は,KillingベクトルやKillingテンソルの一般化になっている. 3.非自明な漸近平坦性をもつ高次元ブラックホール解として,ひねられた有限サイズの1次元球を余剰次元となるような最大荷電ブラックホールを奇数次元時空において構成することができる.このブラックホールのホライズンは5次元時空では解析的であるが,7次元以上になると滑らかさを失うことがわかった.これにより,時空次元に依存した時空の幾何学的性質の一つが明らかになった.
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Research Products
(15 results)