2008 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン内包による放射性同位元素の半減期変化の計測に関する研究
Project/Area Number |
19540311
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡辺 智 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40354964)
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Keywords | 内包フラーレン / イオン注入 / エネルギー減速 |
Research Abstract |
本研究では、π電子状態の異なるフラーレンにイオン注入法で放射性同位元素を内包して半減期を測定し、半減期変化量とπ電子状態との関係を調べることを最終目的とした。ただし、この研究には、内包フラーレンの製造が大変重要であるため、本研究課題内では、半減期の研究の準備段階と位置づけて、内包フラーレンの製造法の検討を行なうことにした。半減期測定には高い測定精度が要求されることから、半減期決定に十分な統計量を確保できる放射能量の内包フラーレン試料を作製する必要がある。しかし現行のイオン注入法では、イオン注入エネルギーが高すぎるために、ターゲットであるフラーレンや生成した内包フラーレンを壊してしまい、わずかな量の内包フラーレンしか生成できない。もし、注入エネルギーを下げてイオン注入を行なったならば、フラーレンは壊れなくなり内包フラーレンの生成量の格段の向上が期待できる。そこで、本年度は、昨年作成したエネルギー可変型イオン注入装置を用いて、注入エネルギーを5-30KeVと変化をさせたときの^<133>Xe内包フラーレンの生成率の注入エネルギー依存性を調べた。まず、蒸着装置によりフラーレンターゲットを作成し、これを同位体分離器の収集箱のビーム焦点面に設置したエネルギー可変型イオン注入装置にマウントした。同位体分離器で^<133>Xeイオンを30keVで加速させ、エネルギー可変型イオン注入装置には任意の電圧を印加してフラーレンターゲットへの注入エネルギーを5-30KeVに調整した。照射後、フラーレンターゲットの放射能を測定した後、オルトジクロロベンゼンに溶解し不溶物をろ紙で除去して^<133>Xe内包フラーレン溶液を得た。この放射能を測定し生成率(生成率%=^<133>Xe内包フラーレンの放射能量/全注入^<133>Xeの放射能量×100)を求めた。結果として、注入エネルギーの減少とともに^<133>Xe内包フラーレンの生成率が上昇することが明らかとなった。
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