2008 Fiscal Year Annual Research Report
変形原子核ウラン238と硫黄34の融合反応による超重元素の合成
Project/Area Number |
19540312
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
西尾 勝久 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (70343928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 上級研究主席 (90355058)
光岡 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (40354881)
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Keywords | 超重元素 / 新同位体 / 核分裂片質量数分布 / 融合反応 / 準核分裂 / 複合核 / ウラン238 / 硫黄34 |
Research Abstract |
超重元素を合成するために有利な反応を見出し、また超重元素の新同位体を合成することを目的として、ウラン238(^<238>U)標的と硫黄34(^<34>S)の反応機構を調べた。ロシア・フレロフ研究所では、カルシウム48ビームとアクチノイド原子核を標的とする反応で118番元素までの合成を報告したが、その生成断面積は数ピコ・バーンと高い値を示した。アクチノイド原子核はラグビーボール型に変形している。これが融合に有利に働き、生成断面積を増加させるとの視点に立ち、(1)蒸発残留核(108番元素)の生成断面積を測定するとともに、(2)反応で生成される核分裂片の質量数分布を測定した。(2)の測定は、原子力機構タンデム加速器で行った。核分裂片の質量数分布は、サブバリヤエネルギーで急激に質量非対称に変化し、複合核を生成しない過程、すなわち準核分裂が増加することがわかった。一方、^<238>Uの赤道面に衝突しうる高エネルギー領域では、複合核を経由する核分裂が多いことがわかった。これにより、反応における標的の向きの効果を明らかにした。次いで、ドイツ重イオン研究所でビームタイムを取得し、^<34>S+^<238>U反応で実際に108番元素を合成することで融合確率を調べた。高エネルギー領域で^<267>Hs(5nチャンネル)を合成し、続いてサブバリヤエネルギーで新同位体^<268>Hs(4n)の合成に成功した。いずれの断面積も、融合に阻害があるとしたモデル計算に一致し、入射核が硫黄のように重いと赤道面衝突でも融合に阻害が現れることを明らかにした。本研究により、^<268>Hsのα崩壊エネルギーと半減期が初めて測定された。この値は、中性子数162が閉殻構造を示すとする理論計算に一致した。
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Research Products
(4 results)