2008 Fiscal Year Annual Research Report
半整数共鳴近傍における特異なビームダイナミクスの研究
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19540315
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
家入 孝夫 High Energy Accelerator Research Organization, 加速器研究施設, 准教授 (90100809)
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Keywords | 加速器 / ビーム計測 / ビーム物理 |
Research Abstract |
2007年にクラブ空洞がKEKB加速器に導入され、クラブ型衝突と言われる実効的な正面衝突を世界で最初に実現することができた。このクラブ型衝突実験で、比較的低いビーム電流領域で衝突の性能が向上したが、シミュレーションの予測と異なり、ビーム電流が増加するとともに衝突性能が大幅に低下する現象が観測された。そこで、半整数近傍で運転しているKEKB加速器のビームダイナミクスを詳しく調べた。観測する道具として、前年に開発したゲート回路を用いたバンチ毎ビーム位置モニターとバンチ毎チューンモニターを主に用い、以下のような成果が得られた。 (1)クラブ空洞の効果を衝突による水平軌道の変位から推定し、その変位が計算値と一致することを示した。又、クラブ空洞による二次的効果として、バンチ位相の変位が水平軌道変位に現れることを実証した。 (2)電子と陽電子バンチの位相差から、衝突する場所がバンチ毎に変わることが予想される。位相差から推定した衝突点の変化は、衝突反応から直接測定した値と一致した。 (3)長年その原因がわからなかったトレイン先頭部で生じていた急激な位相変位は、常伝導空洞の寄生モードが関係していることがわかった。 (4)ビーム・ビーム効果をベータトロンチューンのスペクトルから調べた。その結果、衝突性能の低下は、垂直方向のビームビームパラメータが飽和することによって引き起こされているが示された。一方、水平方向ビームビームパラメータは異常に高い値を示した。これは、ダイナミックビームビーム効果により、水平方向ビームサイズが縮んだことに関係していることがわかった。
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Research Products
(4 results)