2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540328
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 良雄 Yamagata University, 理学部, 教授 (10113961)
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Keywords | 表面・界面物性 / 異常拡散 / 金クラスター / 数理物理学 / 物性基礎論 |
Research Abstract |
19年度で目標としていた金クラスターの運動方程式の4次のシンプレクティック解法の3つのタイプの計算比較は,計算環境整備が遅れたこと(数式処理系を動かしていた既存のマシンが停止),研究時間の確保が困難であったことにより,予定どおり進まず,1つのタイプで試作した段階に留まった. 最近,丸山らは金クラスターの並進運動を2μsに渡って分子動力学を用いて追跡し,時間間隔の関数として並進変位の2乗平均を求め,ある領域で異常拡散-通常拡散の乗換えが起ることを示した.本研究でも,2次のシンプレクティック解法ではあるが2μsまでの計算を試験的に行ない,同様な結果が得られている.丸山らの計算は(本研究では無視している)熱運動効果をも取り込んでいるが,その効果を無視しても拡散モードの乗換え現象は本質的に影響を受けない.長時間にわたる並進運動の追跡では,本研究では誤差蓄積が原理的に押さえられるので,信頼性は高い. 丸山等の議論を通し,クラスターの並進-回転のエネルギー交換モードの長期的安定性と模型の力学系の構造と関連を調べる重要性が認識された.本研究で扱った模型について,力学系の分野との関連についてはこれまで調べられてこなかった.本研究でも今後の課題として研究したい.
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