2008 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒半導体二酸化チタンにおける永続的光誘起キャリアの制御
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19540333
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
関谷 隆夫 Yokohama National University, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60211322)
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Keywords | 二酸化チタン / アナターゼ / 単結晶 / 光誘起キャリア / 電気伝導 |
Research Abstract |
二酸化チタンの粉末を原料とし、塩化アンモニウムを輸送剤として、化学輸送法により育成したアナターゼ型二酸化チタン単結晶は、薄青色を呈し、酸素欠陥の存在が示唆される。この単結晶を500℃程度の温度で熱処理することで、結晶の色が黄色に変化する。この黄色単結晶の室温のESRスペクトルには、2組のtriplet信号が観測され、g値、hfsの角度依存性から、アナターゼ型二酸化チタン中の酸素と置換した窒素の存在を明らかにした。この窒素に起因するESR信号は温度の低下と共にその強度を下げ、60K程度で消滅する。それに変わって、90K付近からTi^<3+>に起因する信号が現れる。このESR信号の温度依存性は、窒素やチタンがいずれも電子を得るために生じるので、酸素欠陥などが電子の供給源として関与していることを示唆している。光吸収スペクトルでは、価電子帯直上に窒素に起因するバンドが形成されるという第一元理計算結果に対応する吸収帯を観測しているが、ESRに見られた窒素の電子状態の変化に対応せず、吸収帯は温度に依存しない。さらに、酸化、還元熱処理を繰り返す過程で結晶の色は様々に変化するが、再び黄色を呈する結晶を得ることが可能であることなどの実験事実から、育成した単結晶中には窒素が含まれているものの、黄色の着色原因が必ずしも窒素に起因するものではないことを明らかにした。これらの欠陥が永続的伝導に寄与する可能性がある。窒素を含まない単結晶育成のため、四塩化テルルを輸送剤に使用したが、優良な単結晶は得られなかった。 一方、Nbドープ量の少ない結晶では、電気伝導に紫外光照射効果は認められるものの、電気伝導の永続性はかなり小さいことが判った。低温でのESR信号から、Nb^<4+>がTi^<3+>と共存していると考えている。
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Research Products
(2 results)