2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540335
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
喜久田 寿郎 University of Toyama, 理工学研究部(工学), 助教 (20313588)
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Keywords | 強誘電体 / 硫酸グリシン / 垂直電場効果 / ドメイン構造 / 誘電分散 / 自発分極 |
Research Abstract |
本年度は、硫酸グリシンの強誘電軸(B軸)に垂直な方向と平行な直流電場を長時間にわたり印加することによって、その強誘電軸方向の自発分極が減少した状態へ変わっていく様子をとらえ、そのときの強誘電ドメイン構造を観察してドメイン構造が直流電場の方向によらずC軸に平行な細かい縞状のパターンへ変わっていくことを明らかにした。また、誘電周波数分散の測定から自発分極が減少した状態では強誘電ドメイン壁の振動に関する緩和の強度が小さくなっていることを見つけた。このことから、強誘電軸に垂直な電場によって硫酸グリシンの強誘電ドメイン壁の動きが極端に抑えられると考えられる。このことが自発分極を小さくさせている原因の一つであると思われる。しかし、自発分極を反転させるのに必要な抗電場の大きさにはほとんど変化がないことから、単に強誘電ドメイン壁の動きが抑えられているだけではなさそうである。また、同じ試料を使用するときにはこの現象の再現性があるが、異なる試料を用いると同じ性質を示すものの自発分極が減少する速度など量的に大きく異なることがある。試料の電気伝導度なども調べたがはっきりしたことはわからなかった。今後は、この現象の温度依存性についても詳細に調べるとともに、長時間にわたる直流電場の印加によって、当初の予定にはなかったが、結晶構造に変化がないのかも調べていく予定である。また、他の強誘電体についても同様の現象が起こるのかどうかを明らかにしたい。
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