2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540335
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
喜久田 寿郎 University of Toyama, 理工学研究部(工学), 助教 (20313588)
|
Keywords | 強誘電体 / 硫酸グリシン / 垂直電場効果 / ドメイン構造 / 誘電分散 / 自発分極 / メモリー効果 |
Research Abstract |
硫酸グリシンの強誘電軸(b軸)に垂直な方向と平行に直流電場を長時間にわたり印加することによって、その強誘電軸方向の自発分極が減少した状態へ変わっていくことが分かった。この様子をさらに様々な温度での誘電率の周波数および測定電場依存性の測定を通して研究してきた。その結果から強誘電ドメインのドメイン壁の動きやすさが、印加した直流電場によって極端に抑えられることが分かってきた。しかし、ドメイン壁が動きにくくなっても測定される抗電場には影響がないことから、ドメイン壁の動きやすさが変わることは自発分極が減少することに直接は関係していないと思われる。また、昨年度に引き続き試料依存性について結晶の電気伝導度との関連性を調べたが、明確な関連性を見つけることは出来なかった。おそらく結晶表面の電極のつき方に大きく左右されるものと思われる。年度の後半からは育成装置が使用できるようになったので、次年度の測定に備え、他の強誘電体での直流電場の効果を調べるための単結晶の育成を合わせて行った。このほか、硫酸グリシンのグリシンをアラニンで一部置換した物質や、銅イオンをドープした結晶についても測定を行った。今年度の結果は夏に開かれたアジア強誘電体会議で発表したほか、秋にはポーランドの強誘電体スクールで報告した。ポーランドでは共同研究者と実験技術やこの現象についての議論を行うことができた。その中で、この現象は硫酸グリシンの他に、硫酸をセレンで置換したセレン酸グリシンでも見られることや、なにかをドープした結晶では内部バイアスによって直流電場の強さや加える時間に影響が出ることなどの情報交換を行うことができた。
|