2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | 量子ドット / 量子輸送 / 超伝導 / アンドレーフ反射 / 近藤効果 / 干渉効果 / ナノ量子系 |
Research Abstract |
本年度は、多体効果・干渉効果に軌道自由度を取り入れ、これらの効果が織り成す現象について解析を進めた。 1.量子ドット系での熱起電力 カーボンナノチューブなどの量子ドットでは2軌道の近藤効果が観測され、縦型量子ドットでは3軌道近藤効果が観測されている。軌道による近藤効果では、通常のスピン近藤効果とはかなり異なった多体効果が低温で現れる。ここでは、輸送係数のなかで熱起電力を取り上げ、低温での計算を厳密解とワード恒等式を用いて行った。軌道効果により大きな熱起電力が生じることを明らかにした。 2.アンドレーフ反射と近接効果 超伝導と量子ドットを接合した系での電子相関効果に関する系統的な研究をおこなった。特に数値繰り込み群を用いて、T字型のダブルドット系におけるアンドレーフ反射と近藤効果の競合を調べた。その結果、超伝導相関と近藤相関の競合により、低温のコンダクタンスに異常な上昇が生じることを明らかにした 3.非平衡下での量子輸送現象 量子ドットと超伝導を接合した系の研究は近年盛んに行われており、特に有限バイアスの非平衡下での実験研究が急速に進展している。一方でこのような状況に対する理論研究はあまり進んでいない。ここでは、非平衡グリーン関数法に基づき、超伝導接合ドット系の量子輸送のバイアス依存性を調べた。その結果、超伝導相関と近藤相関の競合によりコンダクタンスの上昇が現れることを見出した。
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Research Products
(4 results)