2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19540338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | 量子ドット / 量子輸送 / 超伝導 / アンドレーフ反射 / 近藤効果 / 干渉効果 / ナノ量子系 |
Research Abstract |
本年度は、超伝導リードと結合した量子ドット系における多体効果と干渉効果に重点をおいて研究を行った。特に有限バイアス下の非平衡系に関しては新たな電圧電流特性を理論的に予言した。 (a) ダブルドット系におけるアンドレーフ反射と近藤効果 ダブルドットに超伝導リードを接合した系における近藤効果と超伝導の競合に関して研究をおこなった。特に改良された2次摂動論と数値繰り込み群を用いてコンダクタンスと局所状態密度の計算を行った。アンドレーフ反射と近藤効果の競合の結果、低温でのコンダクタンスに異常な増幅が生じることを明らかにした。この特徴的な現象は、近接効果によって近藤効果の遮蔽距離が変化することに起因していることを明らかにした。 (b) 非平衡下での超伝導と近藤効果の競合 有限バイアスのかかった非平衡状態における超伝導・量子ドット接合系の研究が近年精力的に行われている。ここでは、このような有限バイアス下での実験を念頭におき、非平衡グリーン関数法に基づき、超伝導接合ドット系の量子輸送現象を調べた。量子ドットにおける局所状態密度とコンダクタンスのバイアス依存性に新たな多体効果が現れることが分かった。すなわち、バイアス電圧を増加していくと、超伝導相関と近藤相関がちょうどつりあう条件が満たされた時、微分コンダクタンスにピーク構造が現れる。この性質は非平衡下における超伝導・量子ドット複合系に特有のものであり、今後、実験的にも検証されるものと期待している。
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Research Products
(4 results)