2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540341
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
花咲 徳亮 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70292761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 由夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10202251)
池田 直 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00222894)
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Keywords | 分子性固体 / 強相関電子系 / 電荷秩序 / フタロシアニン |
Research Abstract |
本研究は、フタロシアニン分子を主な研究対象としてπ電子系の電子自由度に着目した新しい誘電物性の開拓するものである。19年度では、フタロシアニン分子系1次元伝導体TPP[Fe(Pc)(CN)_2]_2の誘電率を測定し、2千程度の比較的大きな誘電率を見出した。これまでの核四重極共鳴の実験から不均一な内部電場が低温で示唆されていることから、電荷秩序の形成に伴って誘電率が増強されていることが考えられる。本研究の対象であるフタロシアニン分子の特徴は同一分子内に誘電性に寄与する分子軌道(HOMO)と磁性を担う(局在スピンが存在する)分子軌道(next HOMO)が共存しており、両者の間に強い分子内相互作用が期待されることである。そこで磁場によってnext HOMOの局在スピンを制御して、HOMOの電荷秩序を制御することを試みた。実験の結果、磁場によって顕著な誘電率の上昇が観測された。これは磁場により電荷秩序の融解が誘起されている可能性を示唆している。今後、電荷不均一状態における誘電率の微視的メカニズムを明らかにするためには、電荷と格子および分子構造との関係を精査していく必要がある。そこで、低温におけるX線回折を行い電荷不均一状態に起因する散漫散乱の異方性を調べるとともに、広範囲のk空間における回折ピークを計測し低温における精密な構造解析を今後進めていきたい。
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Research Products
(8 results)