2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機単結晶型微小共振器における異方性キャビティポラリトン
Project/Area Number |
19540342
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
近藤 久雄 Ehime University, 理工学研究科, 講師 (70274305)
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Keywords | 微小共振器 / キャビティポラリトン / 有機単結晶 |
Research Abstract |
本研究で用いた有機微小共振器は、HfO_2/SiO_2によるDBR(誘電体多層膜ミラー)2枚を互いに向かい合わせて形成したファブリ・ペロー型の共振器構造の隙間0.1μm程度に、融液浸透法によってアントラセン単結晶薄膜を育成させたもので、アントラセン単結晶を光活性層とするバルク型微小共振器である。2軸性結晶であるアントラセン単結晶の光学異方性を反映して、この光スペクトルは強い偏光依存性を有し、偏光方向によって2種類のキャビティポラリトンモードが得られる。 作製した微小共振器に対して斜入射による偏光透過スペクトルを測定し、キャビティポラリトンモードエネルギーの入射角依存性(入射角に対するキャビティポラリトン分散)を得た。その結果、入射角の増加によって高エネルギー側にシフトしたモードは、励起子準位近傍で分裂した。この分裂は最低励起子準位だけでなく高エネルギー側の分子振動と結合した励起子準位でも生じていることが観測された。これらの分散曲線や分裂幅は偏光方向によって異なっており、キャビティポラリトン分散の異方分散性が確認された。 さらに結晶軸に対する入射面の方向によって透過スペクトル形状が大きく変化することを発見した。とりわけ入射角の増大によってDBRのバンド端モード(Bragg mode)が励起子準位と結合し、新たなポラリトンモード(Bragg polariton mode)を形成することを確認した。またこのポラリトンモードは結晶軸の方向に大きく依存しており、有機単結晶型微小共振器特有の光学異方性を有していることが確認された。 一方、N_2レーザーを用いたPump-probe分光法によって、光強励起の際にポラリトンモードが高エネルギーにシフトすることを観測した。これは、励起子準位と光モードとの結合が光強励起によって変化したためではないかと考えられる。今後も引き続き研究を行い、この現象の起源を明らかにする予定である。
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