2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機単結晶型微小共振器における異方性キャビティポラリトン
Project/Area Number |
19540342
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
近藤 久雄 Ehime University, 理工学研究科, 講師 (70274305)
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Keywords | 微小共振器 / キャビティポラリトン / 有機単結晶 |
Research Abstract |
本研究はアントラセン単結晶を活性層とする微小共振器を作製し、強い光学異方性をもつキャビティポラリトンに関して研究したものである。この微小共振器は、2枚の誘電体多層膜ミラーを重ねて形成したファブリ・ペロー型微小共振器中に、アントラセン融液を浸透させることで作製したもので、非常に良い単結晶性を有している。そのため、直線偏光によってポラリトンモードが2種類に分離できる。 本年度は、斜入射キャビティポラリトンモードの結晶方位依存性の観測を中心に研究を行った。斜入射偏光透過スペクトルの測定において、結晶方位を変えることはキャビラィ面に対する偏光配置を変えることを意味する。この測定より、s偏光配置に比べてp偏光配置のポラリトンモードの透過強度のほうが際立って強いという明瞭な結晶方位依存性を観測することに成功した。また発光スペクトルの検出角依存性についても測定し、検出角とともにシフトする発光ピークを観測した。この角度分散はLower Polaritonの角度分散に一致していることから、Lower Polariton発光と考えられる。さらに低温ではb励起子のLower Polariton発光のみであるが、温度を上げるとa励起子のLower Polariton発光も出現することを観測した。 一方、キャビティポラリトンの光強励起効果を観測するためにpump-probe分光を行った。その結果、1MW/cm^2の照射強度でLower Polaritonモードピークが約0.4Åシフトすること、さらに、このシフト量は照射強度に比例していることを観測した。これは励起子とキャビティモードとの相互作用が照射光強度とともに変化することを意味しており、光照射によってキャビティポラリトンが制御可能であると考えられる。
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