2008 Fiscal Year Annual Research Report
無機有機複合量子井戸における井戸間光結合と光非線形性
Project/Area Number |
19540346
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
欅田 英之 Sophia University, 理工学部, 助教 (50296886)
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Keywords | 光物性 / 量子井戸 / ポラリトン |
Research Abstract |
ハロゲン化鉛無機有機量子井戸物質では、バンドギャップが可視から紫外領域にある半導体井戸層と、極めてバンドギャップの大きい有機バリア層が自己組織的に交互に積み重なる。そのため理想的な二次元構造を示し、励起子は深い井戸の中に強く閉じ込められ、室温においても安定に存在する。井戸とバリアとのバンドギャップが大きいため井戸層間の電子的な結合は完全に切り離されていることから、これまでこの物質では単結晶においてさえも単一の井戸とみなして光物性の研究がなされてきた。しかし、もし、光を介した井戸間分極のコヒーレントな結合があれば、井戸層数と等しい数のモードが生じるはずである。そしてそれらのモードのうち、強く光と結合するモードのみに振動子強度の集中が起こり、光結合した多重量子井戸ならではの光学的性質を示すと考えられる。 そこで本研究ではこの無機有機量子井戸物質を用い、井戸層間の光結合が光学特性に与える影響を詳細に調べている。昨年度に引き続き、本年度も、無機有機量子井戸物質中ポラリトンが光学特性に与える影響の研究を行った。特に、「多重量子井戸」に由来する巨大な全反射領域と三次元バルク物質におけるL-Tギャップとの比較について理論的な解析を行った。 さらに、同じペロブスカイト構造でありかつ三次元物質である二酸化チタンとの光学特性の比較を行い、電子構造の対称性、次元性、及び、多重量子井戸間の光結合の可能性について検討した。
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