2008 Fiscal Year Annual Research Report
高密度励起したZnOナノ粒子の発光特性に関する研究
Project/Area Number |
19540347
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 義之 Osaka Institute of Technology, 工学部, 准教授 (20288757)
|
Keywords | 光物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究では有望な青色-紫外発光材料の一つである酸化亜鉛(ZnO)のナノ粒子を取り上げ,高密度励起下での発光特性の解明を目指して研究を行った.今年度は最終年度にあたり,試料作製と発光測定,及び,デバイスの試作を中心に研究を進めた。研究に用いたZnOナノ粒子はプラズマによる気相堆積法で作製され,8〜90nmの範囲で異なる粒子サイズを有するいくつかの粒子である.これらの粒子をアルカリハライド(KC1)中に埋め込んだ試料,及び,金属上に一様に塗布した試料をそれぞれ作製し,発光スペクトルについて調べてきた. 強励起下での発光スペクトルの測定では励起光強度の増加とともに束縛励起子発光の低エネルギー側から出現するM発光,さらにP発光を観測した.M,P発光ともに励起光強度の約2乗に比例して強度が増加する振舞いを示し,発光ピークの位置などから,発光はそれぞれ励起子分子発光と励起子-励起子散乱による発光によるものと判断される.P発光が出現する際の励起光強度にはあるしきい値が存在していることも判明し,そのしきい値とZnOナノ粒子のサイズとの間に相関が見られ,粒径が小さくなるほどP発光は出現しにくくなる傾向がみられた.これはサイズの減少とともに励起子-励起子散乱の起こる確率が低下することを意味し,粒子サイズが小さくなると励起子のとりうる波数とエネルギーが制限を受け,それらの保存則を満たす散乱過程しか起こりにくくなるためと考えられる. ここで用いたZnOナノ粒子をレーザーデバイスへ応用するため,粒子を光共振器内に閉じ込めた試料やナノ粒子分散試料を試作し,M発光によるレーザー発振とP発光が関与するランダムレーザー発振の観測に成功した.発振位置やしきい値などのレーザー特性を詳細に調べ,レーザー発振条件を把握するとともに,それらの発振機構について多くの知見を得た.
|