2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540350
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岩野 薫 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 助教 (10211765)
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Keywords | 光誘起相転移 / 超高速現象 / 放射光分光 / 強相関電子系 / スペクトル異常 |
Research Abstract |
まず、初年度において計算を行った1次元光誘起相転移系における非弾性散乱スペクトルや角度分解光電子分光スペクトルの意味をより深く考察するために、実効モデルの構築を試みた。前者においては、主として光生成されたドメインの最も基本的な自由度、すなわち、その重心と空間サイズのみを取り入れて計算結果をほぼ説明できる実効モデルの導出に成功した。 一方、後者においては物理量の違いを考慮し形式的には異なるが本質的に同じモデルを適用した場合、計算結果を全く説明できない。その原因は既に初年度において後者においてスピン自由度が本質的な役割を果たしているためと考えていたが、本年度はそれを露わに示すためにスピン自由度を取り入れた新しい実効モデルを考案し、その解析を行ったところ、計算結果をほぼ説明することに成功した。 次に2次元系の計算の進捗状況について述べる。既に初年度においてその計算プログラム(DDMRG法)の基本的な作成に成功している。本年度はそれを1/4充填バンドを有する2次元電荷秩序系に本格的に適用した。ただし、現在の所、扱える最大のシステムサイズは6×6であり、また、開放端境界条件であるために境界の影響が大きい。そのために別により小さいサイズの厳密な対角化も行い、それらの結果を見比べながら光学励起状態の性質を議論している。 結果としては、やはり、相境界に近づくにつれてドメイン励起がより顕著になっていくことを見出した。特に、相境界から離れた場合は光学励起状態は低エネルギー側から、励起子、自由電子正孔対の順番で、その上にドメイン状態が存在するが、相境界に近い場合は、上記の2種類の励起状態の間にドメイン状態が割り込む格好で存在するようになる。
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Research Products
(7 results)