2007 Fiscal Year Annual Research Report
三層構造ビスマス系高温超伝導体の高品質単結晶育成法の研究
Project/Area Number |
19540354
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡辺 孝夫 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 教授 (40431431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 武則 東京大学, 低温センター, 助教 (80361666)
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Keywords | ビスマス系高温超伝導体 / 単結晶育成 / Pbドーピング / 温度勾配 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導材料を広範囲な実用につなげていくために、少しでもその超伝導転移温度Tcを高めることが望まれている。興味深い経験則として、Tcは結晶構造に含まれるCuO_2面の枚数を増加させるにつれ増加することが知られている。その原因を調べるためには、単結晶を用いた詳細な物性研究が必要である。ここでは、三枚のCuO_2面を有するビスマス系高温超伝導物質(Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3O_10(Bi-2223))に着目し、その大型・高品質(高純度)な単結晶を従来より高速度(0.1mm/h以上)で育成する方法を開発することを目的とする。 今年度はまず、石英管の一部にアルミホイルを巻くことによって光照射の角度を制限し、従来より急峻な温度勾配を実現しその効果を調べた。また、不純物相であるBi-2212相の生成を抑制する目的で原料棒にややCu-richな組成を用いた。その結果、0.1mm/hの成長速度であっても比較的大型(2x1mm^2)の単結晶が育成できることを見出した。しかしながら、不純物のBi-2212相を多量に含んだ結晶であった。以上の結果は、急峻な温度勾配が結晶の大型化や高速度育成に有利であることを示唆する一方で、Cu-richな原料棒組成は不純物相の抑制に逆効果であることを示す。今後は、原料棒組成をストイキオメトリックな組成に戻し、温度勾配を更に急峻にする効果を調べる。そのための、レーザ加熱源の立ち上げ調整を完了した。その際の消耗品の購入に、科研費を使用させて頂いた。 また、高速度育成のための別の方法としてPbドーピングを考えている。Bi-2223相へのPbドーピングに先立って、報告例があるBi-2212(Bi_<2-x>Pb_xSr_2CaCu_2O_8)を検討し、Pbドーピングに関する基本的な技術を蓄積することとした。今年度は、化学量論組成のpristine(x=0)Bi-2212とPb量(x)=0.2の単結晶の育成に成功し、基礎特性の評価を進めた。
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