2008 Fiscal Year Annual Research Report
三層構造ビスマス系高温超伝導体の高品質単結晶育成法の研究
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19540354
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡辺 孝夫 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 教授 (40431431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 武則 東京大学, 低温センター, 助教 (80361666)
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Keywords | Bi-2223単結晶 / Bi-2212単結晶 / 擬ギャップ / c軸抵抗率 / 負の磁気抵抗 / 超伝導ゆらぎ / 量子臨界点 |
Research Abstract |
1. Bi-2223単結晶の育成 温度勾配を急峻にすることにより、高速度育成化(0.1mm/h以上)が可能であることが分かった。しかしながら、従来結晶に比べ純度が充分でなく、高純度化が今後の課題である。一方、適切な温度勾配下で非常に低速で(0.03mm/h)成長させることにより、高純度で大型の結晶が得られる見通しを得た。その際、育成中のガス雰囲気(酸素分圧)が重要なパラメータであることが分かった。 2. 充分に過剰ドープなBi-2212単結晶を用いた擬ギャップ図の研究 擬ギャップの起源を調べるため、Bi-2212単結晶の磁場中(H//c)c軸抵抗率を調べた。as-grown結晶では、Tc近傍(120K程度以下)で明瞭な負の磁気抵抗が観測された。この負の磁気抵抗は、超伝導ゆらぎによる面内状態密度(DOS)の減少に起因すると考えられる。c軸抵抗率のupturnは最初に(高温側では)擬ギャップによってもたらされるが、Tc近傍では超伝導ゆらぎの効果が重畳されていると考えられる。また、1000気圧程度の超高圧の酸素中で熱処理することによって、Tc直上まで金属的なρ_cを示す充分に過剰ドープな試料の作製に成功した。この試料に高磁場を印加したところ、ρ_cはTc以下の温度からupturnを示した。これは、超伝導のオンセットに隠されていた擬ギャップの開始温度T^*が、磁場印加に伴う超伝導の破壊によって顔を出しだものと考えられる。これらの結果は、擬ギャップと超伝導が一義的には起源を異にする描像(量子臨界点)を支持する。
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Research Products
(3 results)