2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体における電荷・スピン密度変調と電気伝導の相関
Project/Area Number |
19540358
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平賀 晴弘 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
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Keywords | 高温超伝導 / 中性子散乱 / X線吸収微細構造(XAFS) / La214系 / Bi2201系 / スピン密度変調 / 電荷密度変調 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体でその存在が明らかになりつつあるスピン密度変調(SDM)と電荷密度変調(CDM)について、その一般性と超伝導発現に本質的であることの実験的な証拠の積み上げを目指してきた。平成20年度は、前年度中に行ったLa214系に対するX線吸収微細構造(XAFS)分光実験のデータ解析を進め、Ni周りの酸素軌道にホールが捕獲されていることを局所構造から明らかにした。その結果、Niの実効スピンが1/2となり超伝導を強く破壊しないというシナリオに纏め、論文として発表した[Phys. Rev. Lett. 102, 037002(2009)]。また、前年度に育成した大型単結晶Bi2201(Pb+Fe置換)の中性子散乱実験を精力的に進め、SDMに起因する格子非整合な(準)静的磁気相関を見出すことに成功した。不純物置換系ではあるが、Bi2201系において格子非整合磁気ピークを観測したのは世界で初めてであり、SDMの一般性に関し多いに進展させることができた。一方、CDMに起因する電荷秩序ピーク及び格子変調をx線散乱と中性子散乱で探査したが、現時点ではいまだ見いだされていない。更に、Bi2201におけるSDMを評価するため磁場下での輸送・磁気特性を調査したところ、負の磁気抵抗や磁気散乱強度の抑制を見出し、La214系との相違を明らかにした。SDMとCDMに関し、一般性と系に依存する個別性との区分けについて、有意義な情報を得ることができた。
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Research Products
(13 results)