2008 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3の横波超音波分光による表面束縛状態の研究
Project/Area Number |
19540361
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 竜司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (00323783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50135670)
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / P波超流動 / アンドレーエフ束縛状態 / 表面状態密度 / 横波音響インピーダンス / 異方的超流動 |
Research Abstract |
非S波の異方的BCS状態においては、表面が大きな対破壊効果をもたらすために、表面からコヒーレンス長程度の領域で秩序変数が抑制される。表面近傍で秩序変数が空間変化し、それにより準粒子はアンドレーエフ反射を起す。表面に局在した準粒子状態ができ、表面アンドレーエフ束縛状態と呼ばれ、異方的超伝導・超流動体の表面に固有の準粒子状態である。 超流動ヘリウム3のB相における表面状態密度には超流動ギャップエネルギーΔ以下に有限の準粒子状態密度が現れる。この束縛状態バンドのバンド幅Δ^*が、壁の鏡面度Sを大きくするにしたがって、広がっていくと予言されていた。Δ^*は音響インピーダンスが特徴的な折れ曲がりを持つ温度から実験的に決めることが出来る。またSは壁を超流動ヘリウム4の薄膜でコートすることにより制御可能で、その値も常流動ヘリウム3の音響インピーダンス測定から決定できる。実験からΔ^*/Δの温度依存性を求めることが出来た。Sが大きくなるに従いバンド幅が広くなっていくことを見出した。Sの小さい領域ではΔ^*/Δは、ほぼSに比例して大きくなり、Sの大きい領域では1に漸近した。Sc〜0.4以上の鏡面度で束縛状態バンドが超流動ギャップを埋めることが分かった。またヘリウム4コートした場合、音響インピーダンスの温度依存性に新たな異常が表れることを観測した。この異常は有限の鏡面度のとき、表面状態密度のゼロエネルギー状態が強く抑制されることによって説明された。
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[Presentation] Surface condition dependence of Transverse Acoustic Impedance in Superuid 3He2008
Author(s)
S. Murakawa, Y. Wada, Y. Tamura, M. Saitoh, Y. Aoki, R. Nomura, Y. Okuda, Y. Nagato, M. Yamamoto, S. Higashitani, and K. Nagai
Organizer
25^<th> international conference on Low Temperature Physics (LT25)
Place of Presentation
RAI Conference Center, Amsterdam, Netherlands
Year and Date
2008-08-13