2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540362
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐々木 進 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (80323955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 佳宣 慶応義塾大学, 理工学部, 准教授 (60252318)
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Keywords | 磁気共鳴 / 量子計算 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究実施計画」において,今年度は以下の知見を得た。 [1]NMR仕様の希釈冷凍機を用いて,更なるNMR感度の向上: 昨年度1.7Kで直接観察に成功した1-qubit構造の試料を,100mkまで冷却して同様の観察を行った。極めて一般的には,信号強度が大幅に向上することが期待されるところ,結果は逆に劣化した。このため,極低温まで試料を冷却する過程で試料の磁場に対する角度が変化した可能性などを含め,考えうる全ての実験上のartifactを検討したが,全て否であり,何らかの本質的な現象であることがわかった。 [2]試料回転機構の導入によるNMR測定時の試料角度の精密制御の実現: 回転機構に3個のホール素子を設置することで,0.1°の精度で角度を制御することに成功した。この回転機構を設置する専用のNMRプローブを試作し,これが極低温でも同じ精度で制御可能であることを確認した。これにより,当課題項目の設定目的を達成した。 [3]NMRスペクトルに対するシミュレーションによる局所磁場の勾配の評価 これまでに製作した,異なった形状をもつ複数の試料については,どの場合も微小磁石からの距離が1ミクロン以内において磁場勾配が最大になることが3次元磁気シミュレーションによりわかった。 上記以外には,以下の成果があった。 ・昨年度,直接観察に成功した研究内容につき,海外で招待講演を行った。ほぼ同時に,論文誌に投稿した。 ・上記の試料以外にも,微小磁石の間隔が異なる試料を2種類作成した。さらに,これらの全ての試料について,1.5Tという良好な飽和磁化が再現性よく保持されていることを確認した.
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