2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 清寛 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00187676)
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Keywords | ウラン化合物 / 超ウラン化合物 / パルス強磁場 / 強相関電子系 / 重い電子系 / 磁化過程 |
Research Abstract |
本年度では昨年度まで行ってきた準備を受けて超極細線のピックアップコイルの開発と、ウラン化合物β-US_2の磁性の研究に取り組んだ。 超ウラン化合物の磁性の解明には純良単結晶の育成が欠かせないが、試料を純良科することに成功すると、金属化合物がほとんどであるため、試料の低温での電気抵抗が小さくなる特徴がある。残留抵抗の小さい試料のパルス磁場中での測定のためには、渦電流を避けるために磁場方向に垂直な方向に薄い試料を用いることになる。そのため試料の量がへってしまうため、今まで以上に巻数を増やした感度を上げたピックアップコイルシステムの開発を精力的に行った。磁場によるバランスと出力、ノイズの解明に努め一定の成果を上げた。 ウラン及び超ウラン化合物の解明には同じf電子系で以前より詳細に調べられている希土類系の磁性と比べることが大切である。その一環としてRCu_2Si_2とCeAu_2Si_2の実験を行った。これらの系で磁気異方性が重要なキーワードであることが明らかとなった。これらの結果は秋の日本物理学会と英文誌に報告した。 β-US_2は、ウラン化合物の中でも低温で80K位のバンドギャップを持つ半導体的な電気抵抗を示すことで注目される物質である。圧力下でこの半導体的な電気抵抗が壊され金属的になる報告があるが、磁場中での詳細な研究がなされてこなかった。そこで、原研の研究支援者との協力の下に単結晶を新たに育成し、50テスラまでの磁気抵抗の測定を行った。半導体的な温度変化を示す領域の一番高温側の83Kでは50テスラで約半分になる負の磁気抵抗が観察されたが、4.2Kでは50テスラで10万分の1以下にも減少する巨大な負の磁気抵抗が観察された。50テスラでの抵抗の温度変化はもはや半導体的ではなく、金属的な物であり、磁場によって半導体的なエネルギーギャップがつぶされていることを確認した。この結果は08年度最後の物理学会(3月27日から、立教大学)で報告する予定である。
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