2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 清寛 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00187676)
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Keywords | ウラン化合物 / 超ウラン化合物 / パルス強磁場 / 強相関電子系 / 重い電子系 / 磁化過程 |
Research Abstract |
本年度では昨年度まで行ってきた研究を続けて、ウラン化合物β-US_2の磁性の研究等に取り組んだ。 超ウラン化合物の磁性の解明に必要な純良単結晶は残留抵抗が小さいため、パルス磁場中での測定による渦電流を避けるために磁場方向に垂直な方向に薄い試料を用いることになるため、試料の量がへってしまい、今まで以上に高感度な測定システムを構築しなければならない。また低温での温度依存性がとても重要となるため、精密な温度測定ができる測定システムも重要である。前年度から準備してきた実験装置を用いて、ノイズの低減とピックアップコイルによる磁場による出力をキャンセルするバランス回路の改善などに取り組み、一定の成果を上げた。 これらの装置開発と平行して、前年度より取り組んできた超ウラン化合物の参照系としての希土類4f電子系での系統的な研究も行った。超ウラン化合物の5f電子系を扱うに当たって、Ceと同様に重い電子状態を示す4f電子系のYb化合物について系統的な研究を行った。最近、磁気秩序を示さない重い電子系Yb化合物として注目されるYbT_2Zn_<20>系化合物(T=Ir、Co、Rh)で強磁場磁化を用いたメタ磁性の研究を行った。重い電子系を示す化合物では、Ce系、U系、Yb系にかかわらず、帯磁率の温度変化が極大を示す温度、T_<xmax>とメタ磁性を示す磁場H_mに一定の関係があって、f電子の数や4f、5fの種類にはよらないことが明らかになった。これらの結果は2010年3月下旬に岡山で行われた日本物理学会で報告し、学会の英文誌にも発表する予定である。 前年より取り組んできた、ウラン化合物の中でも低温でバンドギャップを持つ半導体的な電気抵抗を示すβ-US_2では、4.2Kでは50テスラで10万分の1以下にも減少し、強磁場中ではもはや半導体的ではなく金属的であることを示したが、それらの原因と磁化の出現を実験的に明らかにするために、磁化測定の温度変化を系統的に行い、磁化の出現と大きな磁気抵抗に一定の相関があることを解明し、2009年の秋の物理学会(熊本)で報告した。更に2010年の6月に米国のサンタフェで行われる強相関電子系の国際会議(SCES2010)で発表する予定である。
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