2008 Fiscal Year Annual Research Report
磁束渦糸状態の定量的物性評価理論の確立と内部自由度をもつ超伝導への展開
Project/Area Number |
19540369
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市岡 優典 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90304295)
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Keywords | 物性理論 / 非従来型超伝導 / 超伝導渦糸状態 / 超伝導異方性 / 磁束格子 / 中性子小角散乱 / パウリ常磁性効果 / 重い電子系超伝導 |
Research Abstract |
超伝導磁束渦糸状態の空間構造を微視的理論により正確に計算し、比熱や帯磁率の他、熱伝導や中性子散乱強度、NMRスペクトルなど各種物理量の磁場依存性・温度依存性を定量的に正しく評価する計算手法の開発を進めている。これにより、非従来型超伝導体の物理量の振舞を解析し、実験データに隠れている超伝導機構についての重要な情報を見つけ出すごどができる。 今年度は、前年度から理論解析を行ってきた低温比熱、磁化、NMRのスペクトルやナイトシフト、中性子小角散乱強度など各種物理量の磁場依存性についての定量的評価方法をCeCoIn_5やSr_2RuO_4, URu_2Si_2などに適用し、磁場中での物理量の振る舞いについて実験データとの比較・検討を行なった。これにより、常磁性効果や超伝導異方性の効果の大きさを評価した。特にCeCoIn_5では強い常磁性効果に加え量子臨界点の効果も重要であることがわかり、結果をまとめている。また、磁束格子の形状と異方的超伝導のノード構造の関係を微視的理論に基づく定量的評価を行い、ノード位置特定のための新たな解析方法の確立を目指して理論解析を進めている。 また、新たな計算方法の開発として、「空間反転対称性のない超伝導体」やルテニウム酸化物超伝導体など、スピン三重項超伝導成分も含めた内部自由度を持つ超伝導での特異な渦状態の理論研究を可能とするため、超伝導のスピンと軌道の内部自由度を考慮した渦糸状態計算の手法の開発を進めてきた。これは、ほぼ完成に至ったところであり、次年度以降で実際の渦状態についての解明に適用していく。
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Research Products
(7 results)