2007 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造に反転対称がない3系の超伝導体の純良試料の作製とNMR
Project/Area Number |
19540373
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小原 孝夫 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 教授 (70107986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 光一 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (20203440)
本山 岳 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (20360050)
小山 岳秀 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (30397666)
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Keywords | 超伝導機構 / 反転対称 / 純良試料作製 / 核磁気共鳴 / スピン磁化率 / 2相共存 / 核磁気緩和率 / 非BCS機構 |
Research Abstract |
結晶中に反転対称をもたない3系の超伝導体試料のうち、CePt3SiとCeCoSi3では、いくつかの試料作製をこころみ多くの結果が得られた。CePt3Siでは、今回特に熱処理により超伝導相に2相(高Tc相、低Tc相)が独立に存在することが明らかになった。今回作製した低Tc相では反強磁性転移も明確に観測でき、これらの結果は従来報告されている単結晶での測定結果に近い(論文発表)。また、核磁気共鳴では2相に対応したそれぞれのSiスペクトラムも観測できたので、微視的にも相の違いが明確になった(論文発表)。また、反強磁性状態での磁気構造についても中性子回折と核磁気共鳴での結果とは相容れない状態であったが、外部磁場印加のNMRと零外部磁場での中性子実験によって磁気モーメントの向きが異なるという解釈で現在に至っている(国際会議で発表)。いずれにしてもPtサイトは、結晶中に2サイトある上、両者のNMR信号が幅広重なるため精度を上げる測定には不適当で、そのため単一サイトのSiのNMRに焦点を合わせる。この場合には信号強度が下がるため、29Siを濃縮化したSiを用いて精度をあげたナイトシフト、各磁気緩和率の温度変化の測定をおこない一部は報告済みである(国際会議で発表)。この系では、磁気異方性と磁気モーメントの向き等については非磁性と思われるLaPt3Siとの比較でも理解しにくい点が多く、この辺りの電子状態を明らかにするため高圧セルにて1〜1.5GPaの圧力下での磁化率、NMR測定を2年目の研究計画に入れている。もうひとつのCeCoSi3では、発現した超伝導は不純物からにも思えるが、X線回折やNMRの結果からもこの不純物相の同定が困難であるため、意識的に化学量論比からわずかにずらして試料の作製をこころみ、2年目の計画でこの辺りを明確にする(一部は物理学会で既発表)。(787字)
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