2007 Fiscal Year Annual Research Report
反転対称性の破れた強相関電子系のフェルミ面と二重空間群による対称化の理論的研究
Project/Area Number |
19540379
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山上 浩志 Kyoto Sangyo University, 理学部, 教授 (20239867)
|
Keywords | バンド理論 / 反転対称性 / バンド構造 / フェネミ面 / CeIrSi3 / LaIrSi3 / 相対論 |
Research Abstract |
今年度は、反転対称性のない結晶構造をもつ化合物の電子構造を計算できるように、ディラックの相対論的1電子方程式を基礎にした相対論的LAPW法を拡張した。このバンド理論では、反転対称性がないことによる効果は原子の配置による構造因子が複素数となり、スピン間に相対論的なエネルギー分裂を生み出すことである。そのことは非磁性状態であってもあたかも磁気分裂した効果(ラッシバ相互作用)を生み出す。ブリルアン・ゾーンにおける対称軸に依存して複素数の構造因子が現れるので、バンド構造に均一にスピン分裂が起こらないことがわかった。 実際の系に対する応用として、空間反転対称性のない圧力誘起超伝導体CeIrSi3とその参照物質であるLaIrSi3の電子状態とフェルミ面の計算を実行した。最近、角度分解光電子分光法により常磁性状態におけるCeIrSi3とLaIrSi3の両方に対するバンド構造とフェルミ面を直接観測することに成功した。得られた測定結果をバンド計算結果と比較を行い、密度汎関数法の範囲内でもバンド分散やフェルミ面の形状を説明することが可能であることがわかった。特に、Ce化合物の4f電子状態がバンド電子ではなく、局在電子として振る舞う場合が多いが、CeIrSi3の場合にはフェルミ準位近傍のバンド分散がLaIrSi3と異なり、4f電子が5d電子と強く混成することでバンド電子としてフェルミ面に関与している。この結果は共鳴光電子分光によりCeIrSi3の4f電子に分散が観測されたことと最近のド・ハース-ファン・アルフェン効果のフェルミ面測定の結果と矛盾しないものである。
|
Research Products
(5 results)