2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540380
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
森 嘉久 Okayama University of Science, 理学部, 准教授 (00258211)
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Keywords | ボロン / 超伝導 / 高圧X線回折 / 構造相転移 / 体積弾性率 / 状態方程式 |
Research Abstract |
これまで、α-Boronの高圧X線回折実験を第三世代放射光施設であるSPring-8にて行い、その圧力領域は200GPaを超え、世界的にも注目されるような結果を得ることができた。今年度は、アモルファスボロンやボロンカーバイドなどの同素体に対する超高圧X線回折実験を行うことと、良質なαボロンをDACを用いたレーザーヒーティング(LHDAC)技術により高温高圧合成を試みることを研究した。 アモルファスボロン、ボロンカーバイド双方の試料に対する高圧X線回折実験は実験計画通りSPring-8にて行った。圧力領域は双方とも50GPa程度である。アモルファスボロンは、圧力印加に伴いそのブロードなX線回折ピークは高角側にシフトするが、50GPaにおいても構造が結晶化するなどの変化はなく、その後、圧力を常圧まで減圧すると、元の位置まで戻ることが分かった。一方、ボロンカーバイドはボロン同様にボロンの20面体クラスターにより形成される物質であるが、αボロンの場合とは大きく異なり、c/aの圧力依存性においてその圧力係数の符号が反転することが分かった。詳細な構造変化は現在解析中である。また、LHDACによるαボロンの合成は、55GPa,3000Kまでの条件においていくつか実験を行い、その一部にαボロンが合成されたことを確認した。ただし、断熱材のMgOとの化合物も合成されていたので、今後は断熱材をArガスなど反応しにくいものに変えて実験する必要がある。 今後は、良質なαボロンを高温高圧合成することに取り組むとともに、そこで得られたαボロンやボロンカーバイドのより高い圧力境域でのデータを取得し丁寧に解析していく。そのデータ解析により得られる原子座標の圧力変化からボロン20面体クラスターが圧力下でどのような働きをするかを明らかにしていく。
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