2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540380
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
森 嘉久 Okayama University of Science, 理学部, 准教授 (00258211)
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Keywords | ボロン / 超伝導 / 高圧X線回折 / 構造相転移 / 体積弾性率 / 状態方程式 |
Research Abstract |
これまで、α-Boronの高圧X線回折実験を第三世代放射光施設であるSPring-8にて行い、その圧力領域は200GPaを超え、世界的にも注目されるような結果を得ることができた。また昨年度は、アモルファスボロンやボロンカーバイドなどの同素体に対する超高圧X線回折実験を行うことと、良質なαボロンをDACを用いたレーザーヒーティング(LHDAC)技術により高温高圧合成を試みることを研究した。その結果、ボロンカーバイドの格子定数の圧力依存性とLHDAC実験によりαボロンが微量ではあるが合成された可能性があることを報告した。 本年度は、ボロンカーバイドの高圧下における電子構造の変化を含めた精密構造解析と良質なαボロンを高温高圧合成することを中心に取り組んだ。ボロンカーバイドは100GPaを超える圧力領域での高圧X線回折実験を行い、その一部はリートベルト解析により原子座標の圧力変化までを求めるに至った。その結果、c/a比がαボロンとB_4Cでは反対の圧力依存性を示すことが明らかとなった。その原因を探るべくリートベルト解析によって原子座標を求め、そこからボロンクラスター間とボロンクラスター内の圧力依存性を求めた結果、αボロンとB_4Cではボロンクラスターの圧力下における振る舞いに違いが生じ、その結果としてc/a比の圧力変化が正反対を示すことが明らかとなった。 一方、αボロンの高温高圧合成実験では、MgOと試料との化合物を除去するために断熱材をArガスに変えて実験を行い、αボロンが高温高圧合成されていることが明らかとなった。合成実験の圧力は2GPa辺りと25GPaの領域で加熱温度は2500Kまでである。それらの高温高圧処理した後のXRDパターンをMgO断熱材の場合の結果と比較すると、MgOとの化合物からのピークがなくなり、αボロンが高温高圧合成されたことを示す結果となった。
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