2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540381
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
米満 賢治 Institute for Molecular Science, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (60270823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 靖文 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (50390646)
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Keywords | 電荷秩序 / 光誘起融解 / 過渡スペクトル / コヒーレント振動 / 逆スピンパイエルス転移 / 光誘起ポーラロン / スピン電荷結合 / 緩和過程 |
Research Abstract |
擬1次元1/4フィリング系の有機塩(EDO-TTF)_2PF_6は、(0110)型電荷秩序をもつ絶縁相において光照射すると伝導度が桁違いに上がるため、光誘起絶縁体金属転移とみなされてきた。しかし、光誘起伝導度スペクトルの形状は高温金属相のそれと大きく異なり、謎であった。そこで従来のパイエルス・ホルシュタイン・ババード模型を拡張し、π電子間の長距離クーロン相互作用とアニオンによる電子格子相互作用を考慮した。これらは、平衡状態の性質をほとんど変えないように繰り込むことが可能だが、光誘起ダイナミクスを本質的に変える。観測されている過渡スペクトルを再現するパラメタでは、(1010)型の新たな電荷秩序とキャリアーが光照射により生成されていた。スペクトルは高エネルギーではコヒーレントに、低エネルギーではインコヒーレントに振動し、これも実験を再現する。 1次元スピン・パイエルス絶縁体のK-TCNQは、光照射により二量化が弱まりギャップが減少する様子が理論的によく説明されていたが、光照射直後に現れるギャップ内状態の起源が謎であった。格子緩和を必要としない純粋に電子的な瞬時の変化だとすると、伝導度スペクトルのドルーデ成分がないことと矛盾する。そこで、パイエルス型とホルシュタイン型の電子格子相互作用を考慮し、格子緩和の強さを変えながら伝導度スペクトルを計算した。ギャップ内状態のエネルギーを再現するにはパイエルス型の格子歪みが必要なことをつきとめた。ギャップ内状態はスピンと電荷の結合した励起状態であることを、励起エネルギーおよびスピン密度と電荷密度の相対分布の解析評価から示した。
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Research Products
(20 results)