2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子モンテカルロ法および第一原理計算による2次元強相関係の研究
Project/Area Number |
19540388
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柳澤 孝 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (90344217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 泉 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (00357774)
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Keywords | 強相関電子系 / 計算物理 |
Research Abstract |
高温超伝導の相図および機構を明らかにするために、変分モンテカルロ法および量子モンテカルロ法によるシミュレーションをハバードモデル、d-pモデルに対して行った。 2次元ハバードモデルに対して変分モンテカルロ計算を行い、Bi系の銅酸化物高温超伝導体において低ドープ域で報告されているチェッカーボード状態が安定となるパラメーター領域があることを明らかにした。この状態は、通常の反強磁性状態を拡張して、二つのQベクトルにより特徴づけられる状態として実現されるものであり、Bi2212系に対応するバンドパラメーターに対して安定となることを示した。2次元ハバードモデルにおいて、La系、YBCO系、Bi系銅酸化物高温超伝導体に対応するバンドパラメーターを設定して、変分モンテカルロ法による計算を行い、それらの結果を比較した。最適ドープ量の領域に限ると、次近接トランスファーt'はt'/t=-0.2程度が超伝導にとっては最適であることが明らかになった。Bi2212系に対応した値t'/t=-0.34、t''/t=0.23は超伝導にとってはあまり好ましくない結果が得られたが、実際は高いT_cが報告されており、クーロン相互作用の大きさなどバンドパラメーター以外の要因も重要と考えられる。(ここで、t''は次次近接サイト間の重なり積分である。) 2次元ハバードモデルに対して、量子モンテカルロ法により超伝導のペアー相関関数とペアー感受率を計算した、基底状態によるペアー相関関数の期待値の計算において、モンテカルロ法の収束が遅く、かなり難しいことが判明した。また、ペアー感受率を量子モンテカルロ法により評価し、そのサイズ依存性を明らかにした。上で得られた最適領域t'/t=-0.2において、ペアー感受率はL^2則とコンシステントであることを示した。ここで、Lは系の大きさであり、全格子点の数はL^2で与えられる。これは、2次元系においてコスタリッツ-サウレス型の相転移が存在することを示している。
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