2007 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム行列理論の位相的場の理論による解釈とその応用
Project/Area Number |
19540395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氷上 忍 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093298)
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Keywords | 数理物理 / 統計力学 / トポロジー / 物性理論 / ランダム行列 |
Research Abstract |
ランダム行列理論によるリーマン面の点付モジュライ空間の曲線の位相的普遍量の計算とその物理的意味の考察が研究のテーマであるが、外場があるランダム行列模型での密度相関関数のフーリエ変換Uが点付モジュライ空間の曲線の交点数の導出関数になっていることを、双対定理とレプリカ法により示すことが出来た。この交点数の導出関数は積分形であらわに表示されるので、具体的な交点数を容易に計算できた。この曲線がスピンを持つとき(p-スピン)、任意のp値に対し、対応する外場を持つランダム行列模型を書き下すことが出来て、その場合の交点数も具体的に求まった。レプリカ法により、点付モジュライ空間の曲線のトポロジカルな意味が明らかになり、また双対定理により、外場があるランダム行列模型がギャップをもつ相転移点でのスケーリング則との関係も明らかになった。交点数(intersection numbers)はコホモロジー的な普遍量であるが、(p=2の場合は第一チャーンクラスであらわされ、p>2の場合はさらにトップチャーンクラスを含むことになるが)、このランダム行列模型の固有値相関関数のフーリエ変換Uの積分表示はこれらのチャーンクラスをあらわす新しい表示であることが判明した。またこれらの交点数の導出関数がKdVやGelfand-DikiiヒエラルキーをみたすというWittenの予想を具体的に示し、証明することが出来た。
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