2009 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡緩和法とゲージ理論による量子多体系を中心にした動力学的解析
Project/Area Number |
19540397
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
尾関 之康 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (70214137)
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Keywords | 非平衡緩和 / ゲージ理論 / 量子ゲージグラ / ランダム系 / KT転移 |
Research Abstract |
非平衡緩和法は、評価法の特性から、系統的な数値計算を必要とする臨界普遍性の解析に適している。解析の過程で平衡化の困難が現れないので、特にフラストレーションやランダム系では他の方法に比べて有効た働く。この方法の有効性を量子系やランダム系、KT転移系で確認し、これらの系における諸問題を解決する。 本年度までに、3次元Isingスピングラス模型について、スピングラス相の非平衡緩和解析を相境界に沿って多重臨界点に至るまで系統的に行うことに成功した。相図を決定し、スピングラス臨界指数を評価し、強磁性相も含めた相図全体の臨界普遍性の振舞いを統一的に理解する可能性を示した。また、強磁性とスピシグラスのクロスオーバー領域において、両ダイナミクスのクロスオーバーが観測され、異常なスピングラスダイナミクスと強磁性ダイナミクスがスムーズに接続された。この解析法は、スピングラス転移一般に有効であり、XYゲージグラス模型の解析にも拡張された。XY模型を始めとする連続スピン系のスピングラス転移については、解析の難しさから末解決の問題か多く残されているが、この方法を契機に進展が期待される。 一方、KT転移存起こす2次元ゲージグラス模型について、これまで一般に信じられていた「静的指数と動的指数の関係」と逆転した臨界指数の振舞いを示唆する結果を得、KT相内の臨界指数の評価に取り組んだ。KT相全体において動的臨界指数がほぼ古典的な値で固定されることを複数のランダム系で確認することができた。
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