2007 Fiscal Year Annual Research Report
拡張された制限つき探索理論を用いた新しいバンド計算手法の研究
Project/Area Number |
19540399
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 雅彦 Shinshu University, 理学部, 准教授 (10292202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克彦 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (20325145)
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Keywords | 拡張された制限付き探索理論 / 対密度汎関数理論 / 密度汎関数理論 / 電流密度汎関数理論 / 交換・相関エネルギー汎関数 |
Research Abstract |
これまでに我々は、Levyの制限つき探索の理論を拡張して、任意の物理量を基本変数に選べる拡張された制限付き探索理論(ECS理論)を開発した。本年度は、ECS理論の適用例として、対密度(二次簡約化密度行列の空間座標に関する対角要素)を再現するハンド理論の開発に取り組んだ。単一スレーター行列式による再現を目指した理論は、探索範囲の制限があるものの、相関効果を明確に含んだN-表示可能な対密度を得ることができる。この理論の能力を定量的に計るために、ネオン原子によるテスト計算を行った。探索範囲を広げる必要性は明確になったものの、相関エネルギーの約2割をカバーすることがわかった。そういった意味で、波動関数理論のハートレー・フォック近似に相当する「対密度汎関数理論の出発理論」を得たと言える。波動関数理論がハートレー・フォック近似を基礎にさまざまと拡張したように、対密度汎関数理論もわれわれの出発理論をもとに発展させることができる。本年度はさらに、相関をあらわに取り込んだジャストロウ波動関数による再現を目指した理論を開発した。 ECS理論の別の応用例である電流密度汎関数理論(CDFT)についても研究を進めた。CDFTは近年注目を集めているが、その鍵となる交換・相関エネルギー汎関数の開発は、従来、局所密度近似やOEP法の適用などにとどまり、決して満足のいくものではなかった。これまでに、我々はこの近似形としてvorticity展開近似式(以下、VEA)を提案してきた。本年度は、一般化された密度勾配近似(GGA)の開発で有用であったLevyの漸近的境界条件をCDFTに対して求め、それを用いてVEAおよび局所密度近似を評価した。その結果、VEAはLevyの漸近的境界条件を満たすが、局所密度近似は満たさないことが明らかとなった。
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