2008 Fiscal Year Annual Research Report
拡張された制限つき探索理論を用いた新しいバンド計算手法の研究
Project/Area Number |
19540399
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 雅彦 Shinshu University, 理学部, 准教授 (10292202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克彦 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (20325145)
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Keywords | 拡張された制限つき探索理論 / 対密度汎関数理論 / 電子相関 / 総和則 / 超伝導 / 有限温度ECS理論 / 相関運動エネルギー汎関数 |
Research Abstract |
1. 対密度を再現する理論 これまでに我々は、拡張された制限つき探索理論(以下ECS理論)の一つの適用例として、対密度を基本変数に選んだ対密度汎関数理論の開発を行ってきた。昨年度までに、いわゆる「有効初期理論」を完成させた。本年度は、昨年度とは別の相関エネルギー汎関数の近似形を開発し、テスト計算をした。昨年の結果と合わせて、「有効初期理論」は相関エネルギーの約2割をカバーすることがわかった。本年度はさらに、「有効初期理論」をベースに複数のスレーター行列式による対密度汎関数理論を開発した。この新しい理論では、対密度の探索範囲をN表示可能な範囲とできる大きな利点がある。 2. 有限温度におけるECS理論の基礎の確立およびその応用 本年度、ECS理論の超伝導現象への適用も始まった。通常の有限温度密度汎関数理論と同様に、交換・相関エネルギー汎関数の近似形を開発しなければならない。本年度は、超伝導現象に適用できる交換エネルギーの総和則を導出し、さらにそれに適する近似形を提案した。テスト計算はSn金属で行ったが、従来のBCS理論を有意に修正する結果が得られた。 3. 相関運動エネルギー汎関数 本年度はさらにECS理論の相関運動エネルギー汎関数に関する新しい総和則を導出した。この総和則とヴィリアル関係をあわせることで、交換・相関エネルギー汎関数に関する新しい総和則を得た。この交換・相関エネルギー汎関数に関する新しい総和則は、我々が提案している「ヴィリアル法」に適用できる有用な関係式である。
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