2009 Fiscal Year Annual Research Report
拡張された制限つき探索理論を用いた新しいバンド計算手法の研究
Project/Area Number |
19540399
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 雅彦 Shinshu University, 理学部, 准教授 (10292202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克彦 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (20325145)
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Keywords | 拡張された制限つき探索理論 / 対密度 / 電子相関 / 交換相関エネルギー汎関数 / 総和則 / 電流密度汎関数理論 / 超伝導 / 臨界磁場 |
Research Abstract |
1.対密度を基本変数に選んだ拡張された制限つき探索理論 拡張された制限つき探索理論の一つの適用例として、対密度を基本変数に選んだ理論の開発を行っている。昨年度までに、いわゆる「有効初期理論」を完成させた。本年度は「有効初期理論」の欠点(対密度の探索範囲の制限)を取り払った理論、すなわち、複数のスレーター行列式による対密度の再現を目指した新しい理論を開発した。さらにテスト計算も行い有効性を検証した。新しい理論では「有効初期理論」を超えて電子相関を再現することが示されたが、その一方で運動エネルギー汎関数の近似形開発の重要性も浮き彫りとなった。22年度の課題である。 2.拡張された制限つき探索理論の交換相関エネルギー汎関数に対する新しい総和則 オリジナルの密度汎関数理論の発展の歴史を見ればわかるように、われわれの拡張された制限つき探索理論の発展に不可欠な第一の要素は「適用可能な交換相関エネルギー汎関数の開発」である。本年度は、拡張された制限つき探索理論の交換相関エネルギー汎関数の近似形開発に有用な総和則の発見をした。発見された総和則は、オリジナルの密度汎関数理論のレベルでも新しいものである。本総和則を、電流密度汎関数理論(拡張された制限つき探索理論の一適用例)の交換相関エネルギー汎関数のVEA(K.Higuchi and M.Higuchi, Phys.Rev.B, 74, 195122(2006))に適用したところ、VEAが従来の局所密度近似に比べ優れていることが示された。これは、この新しい総和則が交換相関エネルギー汎関数の近似形の優劣を判定する際に、有効に働くことを示している。 3.拡張された制限つき探索理論の超伝導への適用 昨年度までは外部磁場なしの超伝導体に適用できる理論の開発であった。本年度は、超伝導転移温度の見積もりと同時に臨界磁場の見積もりも可能な理論の開発に着手した。ノーマル状態における電流密度汎関数理論の超伝導状態への拡張であり、基本変数は非対角長距離秩序に加え常磁性電流密度である。
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