2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡張された制限つき探索理論を用いた新しいバンド計算手法の研究
Project/Area Number |
19540399
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 雅彦 信州大学, 理学部, 准教授 (10292202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克彦 広島大学, 先端物質学研究科, 准教授 (20325145)
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Keywords | 拡張された制限つき探索理論 / 対密度 / 電子相関 / 運動エネルギー汎関数 / 電流密度汎関数理論 / 超伝導 / 交換相関エネルギー汎関数 |
Research Abstract |
1. 超伝導ESC理論の基礎の確立およびその応用 拡張された制限つき探索理論(ECS理論)を有限温度へ拡張した「有限温度ECS理論」の適用例として、今年度は磁場が印加された超伝導体に対する電流密度汎関数理論(CDFT)の構築を行った。本理論の基本変数は、電子密度と常磁性電流密度に加え、非対角長距離秩序に相当する異常密度である。本理論に基づいて数値計算を行うためには、通常のDFTと同じように交換相関エネルギー汎関数の近似形が必要不可欠である。今年度はさらに、この交換相関エネルギー汎関数の近似形の開発にも着手した。具体的にはノーマル状態におけるCDFTの交換相関エネルギー汎関数として開発したvorticity展開近似を利用した近似形の開発を行った。成果は低温国際会議(2011)で発表予定である。 2. 対密度を再現するECS理論 電子相関の情報を含んだ対密度を基本変数に選んだ「対密度汎関数理論」でポイントとなるのは運動エネルギー汎関数の近似形開発、および対密度の探索範囲の拡大である。今年度はこれらの問題に対してそれぞれ、運動エネルギー汎関数の総和則を利用した新しい近似形の開発、および「素朴展開・対密度理論」のよる探索範囲の拡大を行った。原子系に適用してその有効性を検証した結果、昨年度の結果に比べ、大幅に誤差が縮小された対密度を得ることができた。さらに今年度は運動エネルギー汎関数に対する新しい総和則も発見した。これら総和則は近似形の精度を上げるために利用可能である。成果は、すでに論文出版ずみのものと一部は論文投稿中である。
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