2009 Fiscal Year Annual Research Report
格子模型のフラクタル構造と平衡および非平衡系への展開
Project/Area Number |
19540400
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南 和彦 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (40271530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 哲郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30211238)
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Keywords | 可解格子模型 / IFSフラクタル |
Research Abstract |
Six-vertex模型の状態空間のフラクタル構造を定式化したshort noteが受理・掲載された.これについてはさらに解析をすすめる. 2体のXYZ相互作用と4体のIsing相互作用からなる格子模型の厳密解を得て,その相図に関してさらに詳細に解析をした.この模型はその極限として1次元と2次元のIsing模型を含み,また4体力による場によって相互作用するdimer模型とも見なせる.これは本質的にeight-vertex模型であり,それに対応して臨界点では臨界指数が連続変化するが,その変換の非線形性を反映して,相図にはリエントラント転移が現れる. 細胞選別の数理モデルは,細胞どうしが互いに接着してパターンを形成する生物学上の問題を数理モデル化したものであるが,これは格子上のスピン模型であるIsing模型と等価である.このうち2次元正方格子の場合は可解格子模型の典型例であり,その転送行列は1次元のXY模型およびtransverse Ising模型のハミルトニアンと可換,したがって同時対角化可能であり,その結果,後者と等価な生物系のモデルであれば,それは細胞選別のモデルと等価であるがあることがわかる.スピン格子模型を経由したこの一連の等価性を通じて,一見異なる生物系,生態系どうしが共通の数理構造を持つ可能性を指摘した. これを生物のモデルとしてさらに忠実に精密化したものが,格子模型としてはcelluler Potts模型に相当する.細胞選別は生物学における形態形成のひとつの問題であるが,この分野の数理構造が可解格子模型に関連することがわかる.
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