2009 Fiscal Year Annual Research Report
弱結合系におけるカイラリティを秩序変数とする相転移の研究
Project/Area Number |
19540402
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 年史 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (80207183)
|
Keywords | カイラリティ / 異常ホール効果 / スピングラス / 相転移 / ユニバーサリティ / D-M異方性 |
Research Abstract |
カノニカルスビングラスではジャロシンスキー-守谷(D-M)型異方性は、スピングラス転移の性質に強く影響を与えると考えられ、異方性依存性を詳細に研究することによりカイラリティを秩序変数とする相転移の有無を調べることができると考えられている。 この異方性の大きさを、ホスト金属の原子の軌道半径と異なる非磁性金属原子のドープで制御し、カイラリティ起源異常ホール効果の測定を行った。この測定より、カイラリティ起源異常ホール効果は、D-M異方性の大きさに比例することが分かった。この結果は、弱結合系の理論的な予測と一致し、D-M異方性がカイラリティと磁化の結合常数の役割を果たしていることを示すものである。今年度は既にデータを取得しているAgを母合金とするスピングラスの異方性の制御に加え、Cuを母合金とするスピンクラスの詳細な実験を行い、既に得たデータと定性的に一致する結果を得た。現在定量的な評価を行っているが、予備的な解析から今まで得たデータが転移温度でスケールされることが明らかになってきた。転移温度は相互作用の分布の幅に対応していると考えられることから、カノニカルスピングラスは、特徴的なパラメータ:異方性の大きさ/転移温度、すなわち異方性と相互作用の比で特徴付けられることを意味する。 また、磁化の精密測定の技術を用いフラストレート新規物質の測定を行い学会発表を行った。
|