2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540403
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 友年 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00241563)
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Keywords | DMRG / 繰込み群 / 双曲平面 / 量子エントロピー / 臨界現象 / 普遍性 / 角転送行列 / 熱浴 |
Research Abstract |
量子エントロピーの背後には、いわゆる量子古典対応が潜んでいることが指摘されつつある。例えば一次元量子系の場合、対応する2次元古典系の形状や、その温度が量子エントロピーを支配する。この対応関係を、より深く観察するために「曲がった空間の中に存在する2次元古典系」を観察するアイテアを得て、その代表として双曲平面上のイジング模型や、その拡張であるクロック模型等について、まず臨界現象を研究した。その結果、主に平均場的な相転移が観測されたが、フラストレートした双曲イジングも系のようにトリクリティカルな振る舞いを見せるものも現れた。さて、量子古典対応を通じて、この双曲平面上の古典系に対応する量子ハミルトニアンを考えると、ボンド相互作用の強さが場所に応じて変化する1次元量子ハミルトニアンが得られる。この「変形された模型」はハミルトニアンの非一様性にもかかわらず、基底状態が一様であるという特徴を持っている。また、基底状態の量子エントロピーは変形パラメターに対して単調減少することが判明した。これらの結果を足がかりとして、球やトーラスなど、あらゆる「等質空間」上の古典系に対応する量子ハミルトニアンについて同様の議論ができる可能性に気づいた。共形場理論との関連を考えると、双曲的に変形された模型はポアンカレ円板上の有限系に、球的に変形された模型は無限に長い円筒と対応が付くので、境界による補正項は前者に現れ、後者には存在しない筈である。これらの結果に基づいて、今後は量子熱浴の研究をトポロジー的な観点から整理して行く。
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