2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス転移を統一的に理解する自由エネルギーランドスケープ理論の研究
Project/Area Number |
19540405
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小田垣 孝 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (90214147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉森 明 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90260588)
松井 淳 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (10274424)
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Keywords | 自由エネルギーランドスケープ / ガラス転移 / 密度汎関数理論 / ランジュバン方程式 / クラマース理論 / 遅い緩和 / 一成分単純液体 / レナード・ジョーンズ・ガウス ポテンシャル |
Research Abstract |
1.自由止ネルギーランドスケープの第一原理に基づく計算法を確立し、剛体球系の自由エネルギーランドスケープを世界で初めて構築した。協調緩和領域の密度依存性が、Adam-Gibbs理論と矛盾のないことを示した。 2.非平衡系における温度変化に対するエネルギー応答を定式化した。自由エネルギーランドスケープで記述される非平衡系のAC比熱の線形項と非線形項の振動数・温度依存性とベイスン間の遷移行列の固有値の分布との関係を明らかにし、これらの温度依存性からガラス転移温度とフォーゲル・ファルチャー温度が決定できることを示した。 3.自由エネルギーランドスケープで記述できる系のダイナミックをLangevin方程式で表し、ベイスン間の遷移がα緩和、ベイスン内の振動的緩和が早いβ緩和に対応することを示した。また、ランドスケープ曲面の変調によりJohari-Goldstein過程が再現されることを示した。これにより、現象論としての自由エネルギーランドスケープ描像が確立したことになる。 4.レナード・ジョーンズポテンシャルに、ガウス関数で表される第二極小をもつポテンシャル(LJGポテンシャル)のガラス化過程を分子動力学によって研究し、1成分系であっても、急冷により安定なガラスが形成できることを示した。また、比熱の温度依存性からガラス転移が存在することおよび緩和の素過程としてジャンプ運動が見られることを示した。 5.剛体回転楕円体分散系のパーコレーション過程を解析し、臨界体積分率をアスペクト比の関数として決定した。
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