2008 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス転移を統一的に理解する自由エネルギーランドスケープ理論の研究
Project/Area Number |
19540405
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小田垣 孝 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (90214147)
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Keywords | 自由エネルギーランドスケープ / ガラス転移 / 遅い緩和 / ポリアモルフィズム / ランジュバン方程式 / 比熱・エントロピー / レナード・ジョーンズ・ガウス ポテンシャル / フェイゾンフリップ |
Research Abstract |
1.統計力学の基本的枠組みと自由エネルギーランドスケープとの関係を明らかにし、アニールド平均・クエンチド平均の明確な定義を与えた。デバイ模型で表される多くのベイスンをもつ系に対して、比熱、エントロピーの冷却速度依存性を求め、実験結果が定性的に再現できることを示した。 2.2次元のモデル自由エネルギーランドスケープ上の代表点の運動を解析し、α緩和、β緩和と代表点の運動の特徴が対応づけられることを明らかにした。 3.LJGポテンシャルで相互作用する一成分系について、MDシミュレーションによる瞬間冷却によって作られたアモルファス状態の結晶化時間の温度依存性を決定し、最短結晶化時間に対応する温度付近にガラス転移点が存在することを明らかにした。 4.LJGポテンシャルで相互作用する一成分系のガラス状態において、圧力を印加することによってアモルファスーアモルファス転移が存在すること、さらにその転移線の温度依存性から臨界点が存在することを示した。 5.LJGポテンシャルで相互作用する一成分系で実現される準結晶相におけるフェイゾンフリップを、実空間の運動、密度相関関数、プロペンシティーを用いて解析し、フェイゾンフリップが自由エネルギーランドスケープの局所最小点間の遷移運動であることを明らかにした。さらに、フェイゾンフリップを媒介した拡散が相転移点において急激に変化することを明らかにした。また、準結晶のフェイゾンフリップとガラス系の遅いβ緩和が密接に関係していること明らかにした。
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Research Products
(26 results)