2009 Fiscal Year Annual Research Report
結合振動子系における同期現象とカオスに対するエイジングの効果
Project/Area Number |
19540409
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大同 寛明 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (70188465)
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Keywords | 結合振動子系 / エイジング / リミットサイクル振動子 / スチュアート・ランダウ振動子 / 局所結合 / 同期現象 / エイジング転移 / 時空カオス |
Research Abstract |
本年度は交付申請時に述べた課題のうち、「(3)局所結合系におけるエイジング転移と関連する問題(特に時空カオスへのエイジングの効果)」について集中的に研究を行った。その理由は、すでに数値計算(シミュレーション)の結果を発表している1次元局所結合系(リング)について、エイジング転移や無秩序誘起の同期現象について理論的な展望がえられたこと、および、時空カオスが見られる領域で不活性(インアクティブ)振動子の効果について興味深い結果が得られたためである。その詳細は以下の通りである。1. 1次元局所結合系におけるエイジング転移の理論:エイジング転移とは不活性な振動子の割合pを増やしていったときに起こる非定常相から定常相への転移現象であるが、リングの場合はシステムサイズNが大きくなると(K, p)相図(Kは結合強度)上の転移線が上側に移動し、熱力学的極限で転移そのものが消失することをシミュレーションの結果から予想していた。本年度はこの問題を解析的に詳しく調べ、シミュレーションの結果を理論的に導いた。また、無秩序誘起の同期現象を理論的に説明することが出来た(投稿準備中)。2.時空カオスに対する不活性素子の効果:エイジングのない(つまり不活性素子のない)リングが時空カオスを示すパラメーター領域で1個のアクティブな振動子をインアクティブに変えると、かなり敏感に時空カオスが消失することを発見した。また、パラメーターを変えていくときに時空カオスが復活するプロセスを明らかにした。1.および2.の結果は、スチュアート・ランダウ振動子について得られたものである。これらの結果は、局所結合の振動子系が示す振動の欠陥や劣化に対する頑健さを調べたり(1.)、時空カオスをコントロールする(2.)上で重要な意義を有するものである。
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Research Products
(6 results)