2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540410
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 幸夫 Keio University, 理工学部, 教授 (20162240)
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Keywords | ヘテロエピタキシー / 不整合転位 / 弾性格子模型 / ストランスキー・クラスターノフ成長様式 / 核形成 / キラル結晶成長 / 磨り潰し効果 / キラル対称性の自発的破れ |
Research Abstract |
ヘテロエピタキシャル成長では、基板と吸着原子との格子不整合性により大きな歪みエネルギーが生じるので、歪みを取り入れることが必要である。そこで本年度は、歪み可能な格子模型に更に不整合転位を考慮して、ヘテロエピタキシャル成長に見られる様々の成長様式を解析した。被覆度や不整合度を増すことにより、層成長からSK成長様式を経て島成長へと移り変わる様子を調べ、不整合転位の有無を含めて相図にまとめた。また、転位網のある吸着層の上に更に別の吸着原子を堆積した時に、核形成がどこから始まるかについて、応力分布との関連から整理した。これらの結果は、実験と比較し、ナノドットの自己組織的形成などの理解に役立った。 また左右の対称性の破れた二種類の結晶形が可能なキラル結晶の成長について、新たなモデルを提案し、考察した。実験的には、左右両タイプの混合した結晶粒の集まりを磨り潰しながら結晶成長させることで、片方のキラリティをもった結晶だけを選別できることが示されている。この状況を理論的に表すべく、同種原子間の結合のほかに、異種原子クラスタ上でのキラリティの変換とカットとシャッフルで表した磨り潰しの効果を考慮した格子気体モデルを提案し、それをモンテカルロ法でシミュレートして、動的にキラル対称性の破れが生じることを確かめた。これは、左右の対称性の破れが非平衡条件下で起きることを示しており、生命体における同様の左右の対称性の破れの理解にもつながる成果である。
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Research Products
(18 results)