2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540410
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 幸夫 Keio University, 理工学部, 教授 (20162240)
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Keywords | 微細加工基板 / 脱濡れ / 核生成 / キラル結晶成長 / ユピン1イジング模型 / 磨り潰し効果 / キラル対称性の自発的破れ |
Research Abstract |
平坦な結晶表面に低温で薄膜を蒸着しても、濡れ性が悪いと一部がはがれ、乾いた領域濡れた領域の混じり合った非一様状態になる。この脱濡れ現象をシミュレートし、乾燥領域の広がる速さなどを理論に解析した。二領域間の界面では濡れ領域よりも更に高くなった淵(リム)が存在し、界面の移動はリム上での新しい層の核生成が支配することを見出した。このときフロントの後退速度は時間の平方根に反比例して徐々に遅くなることを説明した。 また、基板表面に微細加工を施すと吸着層の濡れ性が変化することが期待される。本年度は基板上に平行な溝を掘った場合、吸着島が溝の上に乗るか中に落ちるかが、一次相転移のような履歴を伴うことを見出した。このシミュレーションの結果は、上に乗った島の様々な濡れモードに対する安定性から理解できることを示した。 また、キラルな結晶成長に対し昨年度提案したモデルの熱平衡状態が、大きさ1のイジングスピンに対する既存のBEGモデルのそれと等価であることを見出した。それはキラル対称性の破れという熱平衡相転移を引き起こす。しかし、現実の系ではキラリティが変換する動的過程には制限がある。この制限を加えたシミュレーションを行うと、ホモキラルになる時間が系のサイズに比例して大きくなることが示された。つまりこの場合、系は非エルゴード的である。そこに磨り潰し効果を取り入れると、系は平衡状態からは遠く離れて、しかもホモキラルを実現することが示された。
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Research Products
(11 results)