2007 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理アプローチによるナノ構造の電子・原子動的過程と励起状態の研究
Project/Area Number |
19540411
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡辺 一之 Tokyo University of Science, 理学部第一部, 教授 (50221685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 貴博 東京理科大学, 理学部・第一部, 助教 (30408695)
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Keywords | ナノ構造の光吸収 / ナノ架橋構造の交流応答 / ナノ構造からの電界放射 / ナノ構造電子輸送 |
Research Abstract |
(i)ナノ構造光吸収励起状態:1次元Na原子鎖と1次元C原子鎖の光吸収スペクトルを時間依存密度汎関数(TDDFT)法により調べたところ、Na原子鎖が長くなるとプラズマ励起による吸収が見られたが、C原子鎖では見られなかった。Naの自由電子的性質とCの共有結合性の違いがナノスケール電子励起にも明瞭に現れたといえる。 (ii)ナノ架橋構造の交流応答:原子架橋構造の交流アドミッタンスを線形応答の範囲で調べたところ、原子のオンサイトエネルギーとホッピングエネルギーの大きさに依存して系はキャパシティブにもインダクティブにもなることがわかった。ナノ構造の交流特性が等価回路で理解できることを示唆する重要な知見である。 (iii)電界電子放射下の表面原子の挙動:電界放射(FE)下表面原子が放射電流が原因で真空に蒸発する現象を散乱波導関数法によって理論的にはじめて見出した。FE実験でも観測されてきたこの現象のミクロ機構が明らかとなり理論的に検証されたことは重要である。 (iv)DFT+NEGF法によるナノ架橋構造の電子輸送と原子過程:電流が流れているカーボンナノチューブ(CNT)の吸着原子に働く力の解析を行った結果、吸着原子種、電流の方向、CNTが金属的であるか半導体的であるかによって、その力の方向・大きさが顕著に異なることを見出した。電流による原子移動・蒸発の機構を理解する上で、重要な知見である。
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Research Products
(25 results)